作曲/編曲/作詞/Mix等、DTMに関することを書いていきます

コラボ企画 VSX & KICCA

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1.はじめに

今回は宅録お母さんとのコラボで同じみのVSXさんとのコラボ企画をお送りしようと思います。

 テーマはHouse Music

私が以前作った楽曲(深夜の2時間DTMの「テクノポップ」がテーマの時の曲)をVSXさんにRemixしていただき、その制作の流れをまとめていただきました!

元の曲はこちら↓

soundcloud.com

 

そして最後には対談形式で、Dance Mujicの制作に関して日頃疑問に思っている事をぶつけてみました。

 

と、その前にHouse Musicとは何か?についてサラっと書いてみたいと思います。

まずHouseでは、テンションコードがよく使われます。

そして、ループ(キーボードや、パーカッション)を繰り返す事でうまれる独特のうねりが心地よいサウンド。

Kickは4つ打ちが多く、R & Bのサウンドにラテン要素が入ったようなイメージです。

 

それでは上記の説明をイメージしながら、Remixしていただいた音源をお聴きください。

soundcloud.com

 

ビシバシくるタイトなビートがカッコいいですねー!

それでは早速、VSXさんに制作の流れを聞いていきましょう。

 


2.VSXさん的House制作術

2-1.自己紹介

本名Masahiro Suzukiとして、2005年ぐらいからクラブミュージックを中心としたトラック制作を始め、世界の10を超えるレーベル(King Street Sounds、Apt. Internationalなど)から作品をリリース。得意なジャンルはテクノ、ハウス。オーディションを勝ち抜き、国内最大級のテクノ・フェスWIREにも出場経験有り。数年制作活動を休止していたが、みなさんご存知、#宅録お母さんとのコラボ曲で復活!今後もガンガン制作予定!!

 

さて、今回はリハビリがてら 笑  ゆいさんの人気曲「深夜の2時間DTM用 テクノポップ 」をハウスに味付け。これマジで2時間で作った??とビビりました。メロディーと展開、大好きです。

 

今回のノウハウ、全て我流ですが、世界的ハウス・レーベルKing Streetのオーナー、Hisa Ishiokaさんに何度もデモ曲を提出するたび、ダメ出しをくらって磨き上げたものですので、自信があります 笑。

2-2. Rythm制作

ではまず、私が何の音を加えたかというと、「ループ」です。

クラブ・ミュージックは踊らせてなんぼなので、「グルーヴ」が肝ですが、ループの選び方で万能調味料のごとく、曲にグルーヴを出す事が出来ます。

 

今回私が選んだのは、キック(バスドラ)が入っていない「いかにもハウス」な、ハイハットとパーカッションが軽快なコンビネーションのループ。

 

 

これを加えるだけで、ソレっぽい雰囲気になるから不思議ですね。

 

さて、次はキック、ハイハットなどの基本となるリズムの打ち込みです。

ここでも、音色選びは重要です。そう、いかに「踊れる」かですから。

加えて、ファッションのようにトレンドが移り変わるクラブ・ミュージック、イマっぽい「ハウス」の音色ということで、今回は以下を選びました。全て、「Korg Gadget」にある「London」のプリセット音源です。

 

キック=いかにもシンセで作ったような、TR-808系ディケイ長め、アタック強めの音

ハイハット=TR-909系。いつの時代でも使われるスタンダードな音

スネア=こちらもハイハット同様TR-909系

クラップ=ディケイ短め、切れ味重視の音

 

上記のドラム・キットで、スタンダードなハウスのリズム・パターンを打ち込みます。

 

 

ここでちょっとしたテクをひとつ。

よく聴いてもらうと分かりますが、2拍目ではクラップが、4拍目ではスネアが鳴っています。ヨーロッパのプロデューサーがよくやってるテクニックですが、単調になりがちなリズム・パターンの中に、ある種のサプライズを入れる事で、聞き手に新鮮味を与えることが出来ます。4拍目だけ、短いホワイトノイズを鳴らすとかも、良く使われるテクですね。

 

2-3.Bass

さて、次はベースですね。

こちらも「踊らせる」には重要な要素。鉄壁のリズム隊を作らなければなりません。

ベースもやはりトレンドがありますね。最近は、シンセのレゾナンスが効いた、パーカッシブな音色が良く使われています。

打ち込みにあたって意識すべきは、キックとのコンビネーション。

今回はこんな感じに打ち込みました。

 

2-4.飾りつけ&ウワモノ

さて、ここまで来ればほぼ「ハウス」という形に仕上がりました。

最後は料理における「盛り付け」ですね。ハウスらしく、飾ってみたいと思います。

 

まずはSE、フィルイン編

小節アタマに「シューン」みたいなSEや、クラッシュシンバルを足すことで、曲の盛り上げを演出します。持論ですが、こういう小技の活用 or notで、プロとアマの差が出ると思っています。曲にも表情が出てきますよね。且つ、小節終わりのスネアオカズ挿入。単純に16分打つだけで、メリハリが生まれますので、面倒くさがらずに 笑、やりましょう。

 

 

次に上モノ編

まずは軽いシンセのリフ。みなさん、数年前、ちょっとしたハウスブームがあり、「乙女ハウス」なんて言葉が生まれたのご存知ですか?アーティストだと、

Kaskade | Disarm You ft Ilsey (Official Audio) - YouTube

とか、

Studio Apartment - One true love 【PV】 - YouTube

とかですね。

ハウスは「ループの快感」が魅力の1つだと思うので、コード進行に合わせた複雑な旋律よりも、キーに合ったシンプルなフレーズのほうが合う、と思っています。

ということでシンセはこんなフレーズ。

 

次に、ハウスといえば、という感じで伝家の宝刀「白玉ストリングス」ですね。これをシレっと加えることで、何ということでしょう、ハウス独特の「おミズ感」が出ますね 笑。特に歌モノでは、雰囲気をゴージャスに演出する効果もあります。

 

2-5.Mix

そして最後に、ミックス編

今回は細かいミックスの手法については言及しませんが、ハウスにおける「コンプレッサー」の活用は、私は各楽器と同じように重要なものと捉えています。

特にリズム隊への効果は抜群ですね。

今回は、リズム、ベースをバスチャンネルに出力し、そこへコンプをかけました。

sleepfreaks-dtm.com

↑の事ですね。(菊花)

 

パラメータは、以下くらいのセッティングが私は好みです。

Ratio:2:1、Thresh:深め、Attack:短め、Release:長め

加えて、ほぼ同じセッティングで浅めのトータル・コンプかけてます。

 

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文字で表現すると難しいですが、「ドン・チ・ドン・チ」のような4つ打ちの場合、「ドゥン・シャッ・ドゥン・シャッ」へ音を立体的に変えるというか 。。。笑 オレ何言ってんだろうw

 

まー!とにかくクラブ・ミュージック独特のダイナミクスを生むためにはコンプレッサーは不可欠!だと思うわけであります。

 

というわけで完成したトラックがこちら!

ここまで作業時間1時間ですが、我ながら「ハウス」らしい仕上がりになったのでは、思います。

 

 


3.対談

以上が、VSXさんに書いていただいた記事になります♪

 

大変丁寧にお教えいただき、ありがとうございました!

実は私はDTMを始めるまで、Dance Musicというジャンルを聴いたことがなく、存在すら知らなかった人間なのです。

私のようにDance Musicに全身が浸かり切っていない方も、もう頭の先までドップリ使っている方も、本場仕込みのVSXさんの制作過程を知ることができて、良い刺激になったんじゃないかなと思います♪

以下からは質問形式でお送りします!

 

個人的に聞きたい点と、読んでいる方もここは気になるんじゃないか?!という部分を集めてみました。

 

Q1.文内にもありましたが、クラブミュージックは流行の変化がとても早いですよね。

VSXさんはどこでこういう流行をキャッチしていますか?

やはり実際にクラブなどに行って肌で流行を感じているのでしょうか?(私なんかはクラブに1回も行った事がありません汗)それとも、音楽配信サイトなどを利用して情報を仕入れているのでしょうか?

 

→クラブ・ミュージックの配信サイトの老舗で、Beatport.comというサイトがあります。かれこれ、15年ぐらいはシーンを牽引する存在になってるのですが、ここのチャートをチェックすれば、世界のトレンドが掴めます。私も本名の「Masahiro Suzuki」で配信してるので、よろしければチェックを 笑

クラブで実際に体験出来ることと言えば、現場のサウンド・システムの「鳴り」が体験出来ることが挙げられます。私の曲も現場で流れることがありますが、ちょいノリが足りないとか、反省点を次作に活かす事があります。音の迫力を体で感じるためにも、一度クラブ体験されることおすすめします!

 

Q2.ダンサブルなグルーブを得るためのテクニックとして、ポツポツと耳にするのが、スウィング率をいじるというのがありますよね。

私はダンスミュージックでは、まだやった事がないのです。

VSXさんは、普段ダンスミュージックを作る際にスウィング率はいじられてますか?

 

→めちゃめちゃ良い質問です。今回の講座におけるリズム・プログラミングでは特にスウィングさせてませんが、使ったリズム・ループが若干揺れてますので、跳ねたグルーヴになっています。スウィング率で言えば、私はよく50〜60%ぐらいにして、自然なノリを出しています。これを100%にすると、ブルーノ・マーズの「Finesse」のようなシャッフル全開状態 笑 になります。やっぱ使い方次第ですね。

 

Q3.数あるハウスミュージックの中でも、コレはオススメ!!という曲を教えてください。

特にVSXさんが大きな影響を受けた曲だと嬉しいです。

 

→ ハウスで言えば、パッと思いついたのがKimara Lovelace 「I Luv You More (D`Ambrosio mix)」です。メロディも綺麗で、ハウス制作におけるベーシックなノウハウが詰まった、お手本のような曲です! 

 

Q4.ドラムキットの作成の時の「2拍目はスネアに、4拍目はクラップに」「4拍目のスネアだけホワイトノイズに変えてみる」といったテクニックのご紹介、こういうTips的なものは私はもちろん、このブログを読んでくれている方も大好物だと思います♪

ちなみに・・・もう一点いつもVSXさんが取り入れているテクニック、もしくは意識している点などがあれば、読者さんのために出血大サービスしていただけないでしょうか?笑

 

→色々あります 笑。まずパッド・シンセ系の音を入れると全体がのっぺりした印象になってしまうので、サイドチェインコンプでキックの信号に反応するようにセッティングし、音を波立たせる。とか、

サイドチェインを使用したグルーブテクニック

 プラグインの歪みが不自然に思ったら、ギターアンプを通した音をマイク録りするとか(アンダーワールドの「Born Slippy」のキックは実際こうやって作られたそう)、コンプとリバーブのプラグインにはお金惜しまないほうがいいとか 笑

いろいろありますが、それは今後の機会でお話出来ればと思います!



以上、VSX×KICCAの「ハウスの作り方講座」でした!!

 


 

www.soundhouse.co.jp

VSXさんと宅録お母さんがコラボした楽曲が、現在Soundhouse様主催の「音魂祭り2018夏」にて、一般投票を開始しています。

応募総数300曲以上の中から、現在第一次選考を勝ち残り、50組に入っている模様!

投票は6月30日まで、毎日1票投票が可能です。

 

私も推しメンのお二人なので、是非是非ご投票いただけると嬉しいです(*^^*)♪